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ここのところはまっている「カンバセイション・ピース」はボーっとしてると見落としてしまいそうな素敵な台詞がちりばめられているのだけれど、先日今の私にタイムリーなくだりを発見。
季節は夏。鎌倉にある主人公の家に居候したり、集まったりしてるメンバーで鎌倉の花火大会に行こうという話し合いを持っているシーン。
「じゃあ、どっか他のところ(鎌倉以外の花火大会)に行きましょうよ」
と言うから、
「鎌倉と東京湾以外(の花火大会)は見たことないから、知らない」
と私は言った。
「エーッ!じゃあ、昔はずうっと鎌倉の花火しか知らなかったってことじゃないですか。鎌倉しか知らないのに『鎌倉が日本一だ』とか何とか言ってたんですかア」
「当然」
と私が言うと、「そういう人じゃないか」と浩介が言った。
「そうじゃなかったら、横浜ベイスターズなんか応援するわけないじゃないか。この人は何でもかんでも自分がたまたま知ってることが一番なんだよ」
「愛するっていうのはそういうことだ」と私は言った。「愛っていうのは、比較検討して選び出すものじゃなくて、偶然が絶対化することなんだよ。誰だって、親から偶然生まれてきて、その親を一番と思うようになってるんだから、それが一番正しい愛のあり方なんだよ」
「愛のあり方」なんて言い方をすると少し語弊があるかもしれないけれど、私の夫に対する「愛のあり方」もこれに近い感覚だなあと思う。色んな回り道をしながらもかれこれ15年も10代、20代、30代にまたがって一緒に過ごしているのはなにもお互いを他の人と比較検討して選び出したとういう訳ではなく、まさしく偶然が絶対化して選び出したのだと思ったりする。何だか良く解らない確証を手だてに、相手のことを誰よりも一番だと思って。あと数日で8回目の結婚記念日だから余計にこんなことを感じるのかなあ。
先日夫の35歳の誕生日のときに「20歳のときのあなたよりも、今のあなたの方が人間的に全然好きだよ」(これは客観的に観て素直に思ったので言ってみただけ、別に殺し文句で言った訳ではなくて、笑)と言うとそれはそれは嬉しそうな顔をしてた。確かに歳を重ねることで失ったものはあるかもしれないけれど、それ以上にあのときには無かった部分が備わって、解る人には解る良さが出てきたと思うよ。
まあ、先日一緒に山に登ったSさんは今や離婚調停真っ最中で、「うちなんか、10年目からよ、夫婦がおかしくなったのは!」なんて言ってらしたし、この先私たち夫婦がそうなることもありえるわけで。そしてまたそれはそれで悪い偶然が絶対化することによって起こる逃れられない運命みたいなものなのかな。そのときはしょうがない、運命に身を任せるしかないのだろう。
今日の音楽は「恋は桃色」。歌は矢野さんのほうで。
これから先私の中に雨が降ったとき、自らの傘を閉じて一緒に濡れていってくれるかな。
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