春が近いのか、あたたかい雨。夜の国道を走ると霧が出始めたのか、遠くに見える自宅近くのタワーマンションの灯りが浮き上がってぼんやり見える。21時そこそこだというのに、まるで夜の淵に落とされたような深い暗がりの中を、車は滑るように走る。不思議な感覚。他愛もない会話、どうでもよい時間。
家に帰宅すると、お腹を空かせた人たちと向き合い、一気に現実に引き戻される。牛肉きんぴら、湯豆腐、魚のフライ、いかなごの釘煮、ごはん。先週一日中飲み食いできないほど不調でダウンした日があって、アルコールしばらく受け付けなかったのだけれど、やっとおいしくビールがいただけるようになった。よかった。
夜更けにやっと仕事が一段落ついた夫と湯船につかりながら1時間近く話し込む。子どものこと、仕事のこと、仲の良い友達夫婦のこと、職場の人たちのこと。体も心も解きほぐされていく時間。人生を歩む人がこの人で良かった。どんなことがあっても、私は揺らがない。このひと時を愛おしいと思う。