ものすごい桜吹雪の中を朝から自転車で駆け抜ける。すれ違う老人が公園中に散らばった桜の花びらを箒で掃いていらっしゃるのだけれど、掃いても掃いてもあとからあとから落ちてくる花びらにお手上げ状態。苦笑いしながら掃除の手を止めて顔を上げられたとき、バッチリ目が合ってしまってとっさに混乱して「ご苦労様です」と言いながら頭を下げる。
疎水の水面にもおびただしい量の花びら。道路にも何処からともなく飛んできた花びらが敷き詰められている。幼稚園に迎えにいけば子どもたちからいきなり花びらを頭から浴びせられるし、小学生の娘を迎えたら迎えたで、今度は帰り道でためてきた帽子いっぱいの桜の花びらを浴びせられて驚かされる。お風呂に入るときシャツを脱ぐとパラパラといくつかの花弁が落ちてきた。どおりで背中の辺りが何だかずっとムズムズするような気がしたはずだ。
桜ももう終わり。さっき雨が降り出していたから今日の花弁は水を吸って道路を通っていく車たちのタイヤにつぶされて、いつの間にか気づいたら無くなってしまっていくのだろう。そうなっているころには若葉がまぶしい季節に。
今日はひとつ乗り越えられたことがあって、気分がすっきりする。距離を気持ちで埋められた。そんな感じ。