金曜日の晩に絞れるほど汗をかいた後から次女の熱は引いた。姉妹喧嘩の声が聞こえるようになるともう大丈夫。そのにぎやかな力のある声にホッと胸を撫で下ろしながら、土曜の夕方は友人から頼まれていた七夕祭りのフリマの売り子の手伝いに出かける。
シフォンケーキに天然酵母のスコーン、クッキー、野菜スティック・・・。シフォンは飛ぶように売れ、あっという間に完売。見事。私はいつも彼女の試作をいろいろ食べさせてもらって、あーだこーだと批評するだけなので何も言えないけれど(たいていただ美味い、美味いと食べるだけ・・・)、彼女の腕は以前より確実に腕が上がっている。専門家で無いのでよくわからないけれど、例えば種(酵母)の発酵を具合を見ながらの生地の仕上げ方みたいなものにはある程度勘みたいなものが必要で、そのポイントが最近彼女の中でかなりの確率で合致してきているような気がする。彼女ん家のキッチンはいまや酵母の種起こしのための瓶が散乱している状態で、一種のラボラトリーの様だ。その酵母で作るパンは味があって本当に美味しい。赤ワインにも良く合うし。店を持つようになるのも時間の問題かもしれないなあ。
お客を一通り捌いてひと段落したころに、彼女のご主人がビールとワインを差し入れにやってくる。「外だし、暑くてやってらんねえ!とかYさん言ってるかもと思って・・・まあ、どうぞ。」キンキンに冷えたエビスをご主人と私でかんぱい。なんだかなあ。明るいうちに屋外で飲むビールってなんでこんなに美味しいんだろうねえ。とニコニコ二人で言いながら下戸の友人に店番させたまま、近くで買ってきたホットサンドをつまみにだんなさんと私とで祝杯をあげる。もう手伝いに来てるんだか、だんなさんの晩酌の相手しに来たのだかよくわからない。七時を回る頃には殆ど完売したので、ご主人が開けたばかりのワインを一杯頂いて会場を後にする。楽しかったー。
帰ると今度は我が家のご主人。「暑かったやろう。まあ、Yさん、ビールでも飲まんね。」プルタブをそそくさと開けてグラスにビールを注いでくれる夫を見ながら、自分はなんてお酒のお酌をしてくれる男性に事欠かないのだろう、と幸せに思う。よっぽど美味そうな顔をして飲むのだろうなあ、私。ビール腹にならないことだけを願う。