帰りの夕日

朝カーテンを開けると、銀世界。風の音がうるさいくらい響き渡る夜が明けて、ひっそりと静まり返った朝には大抵雪が積もっている。出勤時の外の気温は1℃。寒さなんかお構いなしに、雪合戦するんだー!と子どもたちは勇んでスノーグローブを出してきて登園・登校。一日中雪は降り続いていたけれど、積もるには至らないべちゃ雪。明日の朝はどうかなあ?積もるかなあ?子どもたちはすごく期待しているけれど・・・。
最近以前はプライベートの欠片も見せようとしなかった30歳の同僚の女子が、ひどく信頼しきった感じで私にいろいろと話しかけてくる。もう美人やし、お洒落さんだし、きっちり仕事も出来るし、非の打ちどころがない女の子なのだけれど、どこかとっつき難くてイマイチ一緒に仕事やりにくいなあ、なんて思いながら過ごした三ヶ月。ようやく・・・だなあ。やっぱり人間関係がギクシャクしていない方が、どちらかというと日常の仕事もやりやすくってストレスがたまらない。よしよし。
唐突だけれど、お正月の直島について覚え書き。
宇野港を11時くらいに出発する船に乗って直島に向かったのだけれど、船に乗り込む人々が抱えているカメラがあまりにも我が夫婦の憧れの品ばかりでびっくり。カップルやおしゃれさんも多くて、子連れの所帯じみた我々は少しドキドキ。
宮之浦港に着いたら巡回バスが待っていてくれて、満員バスに揺られてなんだかよくわからないまま地中美術館に行ってみた。安藤さんの迷路のような建物で楽しんだり、青空をそのまま切り取るようなタレル氏のオープン・スカイを口をあんぐりあけて見上げたり(夜にも観たいなあ)、オープン・フィールドでは絵の中の世界に入り込んで興奮したり。私たちよりもむしろ子どもたちがすごく面白がってた。
モネの睡蓮の部屋は3Dみたい。壁に掛けられた3枚の睡蓮の絵が自然光を浴びてそれぞれ浮き上がったあと合体して、部屋の中央に立体として存在しているようでおもしろかった。
その後美術館の外に出るとちょうどよい時間のバスもなくって、天気もよいしということで海岸線の作品も楽しみながら歩いて草間さんの黄色の南瓜を目指す。みなここら辺はバスでシャーっと行っちゃうのかひと気があまりなかったのだけれど、「バスに乗れなくてよかったー」と夫に言わしめるほど楽しめた。いろいろ散策したり、ここからしか見えないと思っていた作品が、別の思いもよらないアングルから実は見えるとか判明したり、海岸線にちょっとある洞窟を抜けて広がる新たな景色とか、とにかくあれは体感して楽しむほうがいいなあ。言葉では言い尽くせないもの・・・。特に天気が良かったのも手伝ってくれていると思うけれど。
私が草間さんの作品を知ったのは中学生くらいの時。私は母が毎月とってた婦人画報みたいな雑誌を毎月楽しみにして読んでいたのだけれど、そこで彼女を特集していた月があって・・・。もう思春期の娘にしたら衝撃ですよー。まず、草間さんの顔のアップでは大きな目の上下にくっきりと描かれた黒く太いアイラインに衝撃を受けたし、水玉の突起物だらけの中にたたずむ彼女の姿、NYでの全裸でのハプニングの様子、もうどれをとっても少女の私にとっては見てはいけないものを覗き見しているような気分。ほんとにほんとにドキドキしたのでした。何年か前の京都の展覧会も行きたかったのに行けずじまいで、ずっと直島気になっていたのでした。直島の赤かぼちゃ、黄かぼちゃはもっともっと優しい感じ。あんな心に切り込んでくるような衝撃はないかわり、海との景色になじんでいる癒しのかぼちゃってかんじでした。
本村地区の家プロジェクトは絶対行きたかったのに、あとまるやさんも行きたかったのに、電池切れ。時間切れ。急いで港に向かって船に乗り込むと、瀬戸内海に沈みゆく真っ赤な夕日。一日じゃあ全然足りなかった。また行こう。。。