帰り道、暗闇の湖面から吹き寄せる風に少しずつ冷たい風が混ざってくるようになると、秋はもうすぐそこまで来ている。この風を感じる頃になると、子どもの頃に感じていた、あの夏休みが暮れていく何とも言えない寂しいような、焦るような感覚を思い出す。今年もこうして夏が終わっていくのね。
 今年の7月はにわかに周囲が騒がしくなったと思ったら、突然地域社会もろとも渦中にさらされる状況になって、世の中というものの何が何だかわからなくなった。薄っぺらな張りぼての正義ほど酷いものはない。
 そんな中で、親馬鹿といわれるかもしれないけれど、冷静な大人の判断ができるまでに成長している娘を感じることができたし、逆にこの先いろいろあっても、多分この人は大丈夫な人に育っていると感じる瞬間を味わうことができてそれはそれで収穫だった。また、これまでわが親子の成長過程を見守ってきてくれたいろいろな方々から心配の連絡などいただくのだけれど、心配していただかなくても大丈夫ですよ、というくらいに不思議と我が家は穏やかな揺るがない生活を送ることができていた。ただ、裏を返せばそのような心配してくださる方々に見守られているからこそ、変わらない生活が送れたのだろうけれど。
 そんな時に娘と一緒に観に行った「おおかみ子どもの雨と雪」は、私が娘たちと過ごしてきた12年間の毎日と花と子どもたちとの映画のシーンが重なって、自分の回想記を見ているようだった。特に雪の最後のナレーション「母は私達と過ごした12年間は夢のような日々だったと今でも言います。」の一言は本当に自分の心と重なって涙がとまらなかったし、雨との別れのシーンなどは、今まさにわが子たちとのかかわり合い方を見つめなおす時期に来ている自分にとって、いろいろと考えさせられた。いい映画でした。
 他にも、家族の台湾旅行が台風で行けなくなったり、アホみたいに子どもと一緒にラジオ体操に皆勤で通ってみたり、その疲れで頭痛がひどくなったり、地域の夏祭りでかき氷1,000杯作ったり、娘に背をこされたり、そんな娘に花火大会の日に浴衣を着付けてあげたり、なんかようわからんけどそこそこ夏休みを楽しめた感じはします。こうして今年の夏休みも暮れていきます。