上の娘が独り暮らしを始めた。ついこの間生まれたばかりと思っていたのに、気がついたらそんな年齢になっていて、ほんとに驚く。コロナ禍で今年の春、夏は家族4人で過ごすことも多かったので、彼女の独り立ちは、家族の解散会にも似ていて複雑な気持ちだったのだが、いつものように緊急の仕事がうまい具合に入ってきて、最後の晩餐すらできないまま引越作業に移行して感傷的にならずにすんだ。助かったというのが、正直な気持ち。しかし、毎日夜中まで聞こえていた彼女か弾き続けるギターの音はもう聞こえない。
彼女がすみ始めた街は、私が九州の片田舎の女子中学生だった頃に憧れた街で、その地名も付近の駅の名前も私が克明に覚えていた土地だ。当時私が好きだったアーティストが大学生時代に過ごした土地で、何の因果かその街に娘が住みはじめた。人生っていろいろぐるぐる廻っていておもしろい。
今週末は法事で実家に帰省したので、私が中学生当時に購入した当時好きだった(今も人として好きだけれども)アーティストブックを眺める。娘の住んでいる街にまつわる彼のエピソードを読んで不思議な気持ちになった。