最近見た映画について記録しておく。

・マイスモールランド

嵐莉菜さんの笑っているのに悲しそうな目が印象的。奥平大兼さんの瑞々しい演技に気持ちが救われる。移民の人々の現状はこの映画よりもっともっと厳しいものなのだろう。

・メタモルフォーゼの縁側

芦田愛菜ちゃんってホントにすごい。彼女には感情の引き出しが普通の人より沢山あって、心の機微を絶妙に再現するときには様々な種類の引き出しを頻繁に的確に開けて、感情を取り出しているみたい。感性でやっているのではなく、磨き抜かれたテクニックのようにも見えるので、これからどんな演技でもできるようになるのだろう。また、この映画を見て、自分の不貞腐れていた高校時代を思い出された。はじけることもできず、なんにもなれず、そんな自分にイライラしていた。今思うと、何に対しても心から楽しめていない卑屈な女子だったな。そんな自分の高校時代の苦い思い出が救われるような、すごくよい映画だった。彼女が、コミケに出店する勇気がなかった自分を憂いて号泣するシーン等は、自分のことのようで、見ていて胸が張り裂けそうだった。

・ベイビー・ブローカー

映画自体は、思っていたより単調だった。それでも、クライマックスの観覧車のシーンでは涙がこぼれそうになる。ここぞという場面の撮り方のテクニックはさすがだな、と思う。鑑賞後に是枝監督のティーチインが50分ほどあった。監督が、赤ちゃんをを見守る箱がお母さんのお腹の中からゆりかご、ワゴン車、ホテルの部屋、社会とどんどん大きくなる、そして赤ちゃん=子どもに関わる人が徐々に増えていく様を映したかったと仰られていて印象的だった。自分の子育てについても、本当にそうだったなあと実感することがあったので。今のコロナ禍にあっては、本当にお母さんたち、子育て大変だろうなと思う。最後の質問者が、「最近の事件、世の中の事情を憂いて、この先の社会に対して絶望的になったりしませんか?」と尋ねていた。自分もまさにそのようなことを考えることが多いこの頃だったので、回答を興味深く聞いたけれど、「私たちは生きている以上、社会に対して諦めてはいけない責任がある。絶望的になってはいけない責任があるのです。」と仰られた。映画監督、一般のしがない勤め人の私、その他それぞれ、、、各々の立場で社会に絶望せずに、何かしら良くしていけることはないかと考えていくことが大事なことだとはわかっている。でもそれはそれで、とても難しいことだ。いろんなことを考え出すと思考が止まらなくなる。